【ライブレポ】邦楽維新Collaboration・羅城の巻(07.02.16&18)

邦楽維新Collaboration・羅城の巻に行って来ました。
16,17,18日の三日間公演だったのですが、
私は16日と18日の二日間見ました。
前回の「守禮」とはまた一味違った内容で大満足です。

「邦楽維新Collaborationって何?」と思われた方。
前回の「守禮の巻」の記事をご覧いただければ。
http://but-again.at.webry.info/200702/article_11.html

今回の出演者は、
デーモン小暮閣下:朗読・歌唱・お笑い(←勝手に足しました)
オルケスタ・デ・ミヤビヤーナ:稲葉明徳(篳篥)高原聰子(笙)太田豊(横笛など)
黒船バンド:松崎雄一(編曲・key)雷電湯沢(ds)、石川俊介(b)

オルケスタ・デ・ミヤビヤーナは雅楽演奏グループ。
ああ、こういう方たちは真面目に演奏されるんだろうな・・・
と思っていたら、これがもう(以下略)
ふと「類は友を呼ぶ」という言葉が浮かぶ私。



開演前、会場には閣下の新アルバム「GIRLS'ROCK」の元曲が流れ。
その後「GEISHA FUJIYAMA SAMURAI」(「未来が過去を愛するとき」に収録)
をBGMに、閣下が開演前の前説。楽器の紹介など笑いを交えながら。

まずはオルケスタ・デ・ミヤビヤーナの演奏。
「陪臚(ばいろ)」と「平調の調子」という雅楽を代表する曲。
「陪臚」は、雅楽と聞いてパッと思い浮かぶ、あの曲です。
お揃いの雅楽独特の和装で、とても雰囲気があり素敵でした。

その後閣下が登場し(16日:GIRLS'ROCKのペイズリー、18日:阿吽の和装)
土俵入りのようなどっしりした舞を。
その後「陪臚とはどんな漢字?」「どういう意味?」と閣下が質問するも、
いい感じでグダグダな説明に終始する稲葉さんたち。

第一部の朗読劇は、芥川龍之介の「藪の中」。
いやー。これにはビックリ。実は芥川ファンだった私。
小学校高学年から中学時代に、ほぼ全作品を読破したんです。
ユーモラスな内容の「鼻」や、独特の恐怖感のある「羅生門」などの作品が多い芥川龍之介ですが、
この「藪の中」はサスペンス映画のような内容で、文章の展開も独特。
芥川作品の中でも異彩を放つ名作の一つです。
とはいえ数十年前に読んだので、いい感じで内容の記憶が曖昧な私。
たっぷりその世界観を堪能できました。

「藪の中」は平安時代にある殺人事件が起こり、
その容疑者や関係者の告白が淡々と続けられるという内容。
それを閣下はニュース番組風に表現(東海林のり子さんのモノマネまで出る始末)
大爆笑しながら聞いているも、だんだんと芥川作品独特の、
陰鬱とした恐怖感のある展開に・・・。
これには一気に引き込まれました。

この物語の内容と雅楽の演奏がマッチし、素晴らしかったです。
いろんな効果音を出す為に、さまざまな楽器を使用されていました。
「藪の中」は短編。(というか芥川作品の大半が短編)
さくっと読めますので、是非読んでみてください。



15分ほどの休憩を挟んで、第二部。

「GIRLS'ROCK」の「My Revolution」のイントロが流れ、
黒船バンドとオルケスタ・デ・ミヤビヤーナが登場。
その登場の仕方が、黒船バンドは前回の「守禮」同様、
カツラを被った湯沢さん、ピンクのギターを持った石川さん、だったのだけど。
オルケスタ・デ・ミヤビヤーナの皆さんが凄すぎ。
  ・稲葉:ラフなシャツに白ズボン
  ・高原:素敵な黒のドレス
   (18日にはシルバーのカツラも着用。閣下から「ブロンディー高原」呼ばわりされる)
  ・太田:グレーのスーツに白マフラー、帽子にロン毛の付け毛(←客席大ウケ)

演奏が始まり閣下は客席後方の扉から登場。(16日:阿吽の和装、18日:GIRLS'ROCKのペイズリー)
曲は「夢幻の如くなり」(怪談狂言「耳なし芳一」より)
閣下のベストアルバムでしか聴いた事が無い曲だったので、今回聴けて感激。

ここで閣下は一旦退場。演奏陣で「越殿楽」と「淮海西路(ほわいはいしーるー)」
ほわいはいしーるー?と思っていたら、稲葉さんが上海の淮海西路に行って、
イメージして作った曲ということで。
んー。上海は15年ほど前に一人旅しただけなので、地名にピンと来ない。
と言うわけで、調べてみました。

「エデンの彼方を探しに行こう」(http://www.ne.jp/asahi/eden/kanata/index.html)の中の
「虹色の上海」コンテンツ(http://www.ne.jp/asahi/eden/kanata/shanghai/index.html)の中の
「淮海路」のコンテンツ要は↓ここを見てください
http://www.ne.jp/asahi/eden/kanata/shanghai/guide/huaihai.html
こちらのサイトが写真付きで詳しく書かれております。
淮海西路、というのは淮海路の西側、という意味になります。
そんな楽しい賑やかな街並みをイメージした、素敵な曲でした。

なお、地図は「エクスプロア上海」(http://sh.explore.ne.jp/)というサイトの中の
http://www2.explore.ne.jp/shanghai/map/map.php?size=8&x=0&y=0
画面の地図の真ん中に「+」マークがあると思いますが、
淮海路は、その「+」マークのちょい右下。
15年前はまだこの辺は重点開発地域で商業施設など無かったはず。
いやー。さすが高度成長の中国。こんなになっているとは。

その後、「絆」という曲と『そうだ、京都に行こう』のCMのあの曲のメドレー。
いずれの曲も、雅楽楽器とバンドの融合が素敵。
違和感などまったくなく、雅楽楽器も「数ある楽器の中の一つ」という感じ。

再び閣下登場(爆裂&黒のインナー&ライダーベルト)
この邦楽維新Collaboration用の新曲が登場!
曲名は「藪の奥(仮題)」稲葉さん作曲、閣下作詞のようで。
これがもう、なんともほんわかとした、でも郷愁感もちょっとある、素敵な曲で。
子供の頃、楽しく遊び終わって夕日を眺めながら家路に着く、そんなぬくもりのある曲。
本当に伸びやかに歌い上げていて、一発で気に入りました。
「出来ればCD化したい」と閣下。是非!待ってますよ!

最後の曲は、ホルストの「惑星」。
昨今平原綾香さんが歌詞をつけてヒットしたあの曲。
平原バージョンは木星だけですが、今回は他の星(火星など)も交えて。
実はこの「惑星」、私が初めて買ったレコード(というかカセット)でして。
私が小学校か中学生の時に、富田勲さんというミュージシャンが、
シンセサイザーバーションを出して大ヒットしたのです。
そんな曲を数十年の時を経て、閣下が歌われて。
もう、懐かしいやら嬉しいやら、感激。

で、この「惑星」。18日は閣下が大サービス。
出だしをちょっと歌われたかと思ったら、すぐ演奏を止められ。
また歌いだしたかと思えば、また止められ。その度に盛り上がる会場。
ああ。私たちに何度も聞かせてあげようという、閣下の優しさなんでしょうね。
・・・え?出だしを間違えたから何度もやり直したんじゃないかって?
そんな、閣下が歌を間違えるわけないじゃないですか。
これは閣下のサービスなんですよ。うん。そう。そういうことにしておきましょう(笑)

アンコールは「Blue Mountian」
途中で「スタンド・バイ・ミー」も交えて。
三橋さんも加えて大盛り上がりで、楽しい大団円となりました。



雅楽、というとそれこそ「堅苦しい音楽」の頂点のように思われがちですが。
昨今は東儀英樹さんなどがPOPSにして演奏されているし、
もっと気楽に聴いていい音楽・楽器なのではないかと。

私は中国の古典楽器(特に揚琴)が好きなんですが。
こういう音楽を聴く時、昼下がりにお茶でも飲みながら、ボーっと空を眺めながら、
心を開放させて聴くと、物凄く気持ちいいんですよ。
ふわっと体が浮くような、自分と空気の境目がなくなるというか。
雅楽の音色も、心を溶かす音。是非一度、お試しあれ。

あと、稲葉さんのプロフィールを見ていて。
ウッチャンナンチャンの南原清隆さんの「現代狂言」も手がけてらっしゃるんですか!
お笑い好きの間ではなかなかの評判の「現代狂言」。
(ウドちゃんが全く台詞を覚えられないのを突っ込みまくるナンチャン、らしい)
これは是非、見に行きたいです。



その他、思い出したことを時系列抜きで書いていくと。

・客席に元横綱・輪島さんが!(16日)

・宮内庁では「宮内庁で演奏される日本古来の音楽=雅楽」という定義らしく。
 ということは、オルケスタ・デ・ミヤビヤーナは雅楽楽団とはいえない。

・今回出演の予定のなかった三橋さん。飛び入りで演奏にも参加。
 三橋さん曰く、今回関西でも公演して好評だったと。
 是非今後は全国いろんな所でやりたいので、興行をしたいプロモーターなどの方は、
 青山劇場に問い合わせて欲しいとの事。

・その三橋さん。16日も18日も開演前にロビーにいらっしゃって。
 あああ、握手でも、サインでも、と思ったのだけど、こういう時に「根性なし」になる私。
 しかし、あまりにも自然にウロウロされているので、気付かない人が多し。
 というか三橋さん、ある意味「保護色状態」。

・うろ覚えで申し訳ないのですが、雅楽のとある曲は普通に演奏する時は4拍子。
 それを舞楽で演奏する時は5拍子になると。
 稲葉さんの「ひねくれたリズム」という発言に、閣下が「こいつら(黒船バンド)は、
 みんなひねくれてますから、そういうリズムが好きで」と発言。
 (閣下もじゃないですか、と突っ込みたくなる私)

・「打ち合わせ」「二の句が継げない」などの発言を閣下がする度に、
 「それは雅楽用語です!」と突っ込む稲葉さん。というか閣下&稲葉漫才。
 あげく、雅楽用語使用料として「30円」を請求する稲葉さん。総額180円ほどに。

・「守禮」の時2回も見ておきながら曲名を覚えていないとは如何なものか。
 ということで「羅城」の千秋楽ではメモを取る事にした私。
 が、暗い客席で膝の上で書くと、後で見ても読めない字でしか書けない事が発覚。
 そもそも、元々の字が汚いので「速記術」状態。今後メモを取らない事を決意。



「守禮」と「羅城」。
いい意味で全く違う内容で、両方とも大満足。
更に、私は2回ずつ見たのですが、一度見たからといって退屈する事もなく。
むしろ2回目の方が楽しく感じられるほど。

今回は6回公演のうちの4回を見たのですが。
次回は是非「全通」したいと思っています。
それだけの値打ちと、楽しさがあると思ったので。

特に朗読劇は、本当にハマりました。
静かな会場でじっと聞き入っているからだと思うのですが、
ステージを見ているうちに、周りがぼうっと暗くなって、
閣下の姿だけが浮かび上がって見えて。
その後ろに物語の風景が見えてくるんです。
セットやお芝居があるわけではないのに。

そんな中で繰り広げられる、笑い、恐怖、寂しさ、切なさ・・・
普通のお芝居や演芸、コンサートなどとは全く違う世界。
これは是非、いろんな人に経験していただきたいですね。

演奏は演奏で、盛り上がったり、しんみりしたり。
一つ確実に言えるのは、「邦楽器」というのは決して特殊な楽器ではなく、
もっと普通に、いろんな楽器と同様に楽しむべきものである、ということ。
ギターがある。弾いてみようかな。
ピアノの曲がある。聴いてみようかな。
そんな感じで「邦楽がある。楽しんでみようかな」という風に。

私は中国のロックを聴くのも好きなんですが、
実際向こうではごく当たり前のように、
二胡や銅鑼、中国琴などを入れてきますからね。
「邦楽と洋楽のコラボか。物珍しいな」という今の風潮が、
いつか「当たり前」になればいいな、と思います。
それがこの邦楽維新Collaborationの存在意義になれば。


因みに、18日は中国の旧正月の『春節』で。
私にとってはもう一つの新年の始まり。
そんな日を閣下と一緒に過ごせて、本当に嬉しかったです。

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