【ライブレポ】邦楽維新Collaboration『富士・雨待ちの月』

富士・ロゼシアター「デーモン小暮の邦楽維新Collaboration『富士・雨待ちの月』」に、
行ってきました。
横浜公演からたった数日。でも全く違う内容。全く違う楽しさ。
これだから邦楽維新Collaborationはいいなぁ、とあらためて思いました。



今回の公演地は静岡県・富士。一昨年初めてやったロゼシアターです。
●富士市ロゼシアターホームページ
http://rose-theatre.jp/
ちなみに去年の公演のレポはこちら。
●【ライブレポ】邦楽維新Collaboration@富士ロゼシアター(09.09.30)
http://but-again.at.webry.info/200710/article_1.html

出演は、
・デーモン小暮閣下(朗読・歌唱)
  http://www.demon-kogure.jp/(公式サイト)
・友吉鶴心(琵琶)
  http://www.biwagaku.com/(公式サイト)
  http://www.gallery-ef.com/hanaichikan.htm(「花一看」公式サイト) 
・外山香(箏)
  http://www.yokokyo.net/solist.html(関連サイト)
・三橋貴風(尺八)
  http://japan.japo-net.or.jp/artist/file/mitsuhashi-kifu.shtml(関連サイト)
・黒船バンド
  松崎雄一(編曲・キーボード)
  (あぅ。MatszMusicRoomは?)
  雷電湯澤(ドラムス)
  http://www.canta.jp/(CANTA公式サイト)
  石川俊介(ベース)
  http://shunsukeishikawa.com/(公式サイト)

邦楽維新Collaborationではおなじみのメンバー、と言って良いのでしょう。
ただ、琵琶と筝が同時に、というのは邦楽としても珍しいそうです。
でも凄くまとまりのある、迫力があって繊細なステージングになった印象で大満足でした。



【随分前の話~会場到着・開演まで】

前回の『富士居待の月』は、朗読の演目をいいところまで予測したのですが。
今回は『雨待ちの月』(あめまちのつき)はよく判らず。
うーん。雨を待つ月。そんなお話あったかしら。雨月物語とか?

前日の夜。関東は台風のような嵐。ひええ。電車動くのかしら。
当日の午前中までそんな天気だったのですが、
お昼過ぎには雨も風も止んで「狐の嫁入り」ながら日差しが出始めて、
富士につく頃にはすっかり晴れて、富士山が綺麗に見えて。

そういえば今回、横浜でも富士でも「狐の嫁入り」にあったんですよ。
「お天気雨」とも言う、日差しがあるのに雨が降るやつ。
地方によって言い方や伝説はいろいろだろうけど、私は吉兆だと思っていますし、
悪魔が降らせる雨という国もあるそうで。
おおお。めでたい。きっと素晴らしい公演になるでしょう。

で、ロゼシアターに到着。開演までまだ時間があり。
閣下が表紙のロゼシアターのパンフレットをゲットし、
展示会場で池坊のいけばな発表会をやっていたので見てみる。
会場に入ってすぐのお花・・・おおお。グロリオサ!
「熱くなれ」のPVに出てくる「炎のユリ」今まで本物を見た事がなかったのです。
グロリオサを使った作品はほかにもあり「へえ、こんな花なんだぁ」と思いつつ、
頭の中では「えびばびご、えびばびご♪」
・・・ってな事を全く思ってないおすましなフリをして時間を潰しまし。

会場は「ほぼ満員」(閣下の前説より)
前回同様、大半が地元のお客さんで、比較的年齢層も高め(後述)

物販は、
  ・邦楽維新グッズ(手ぬぐい、長袖シャツ、湯のみ、絵馬、手ぬぐいなど)
  ・閣下CD・DVD(ポスターなど特典なし)
  ・たいころじい(和太鼓の情報誌)

今回「たいころじい」を買えてラッキーでした。
●日本で唯一の太鼓専門誌「たいころじい」:太鼓の製造・販売・レンタルなら浅野太鼓
http://www.asano.jp/culture/books/books1.html
その32号に閣下のインタビューが13ページもありまして。
http://www.asano.jp/culture/books/taikology/32.html

以前、閣下公式サイトでも告知されていたのだけど、
1500円もする太鼓専門情報誌を中身も確認せず取り寄せで購入する勇気がなくて(汗)
今回、中身も確認できたのであっさり購入。いやー。内容充実。写真もいっぱい。
邦楽の話題だけでなく、閣下の悪魔としての考え方とか「伝統とは」とか、
ただの「邦楽維新の告知宣伝記事」じゃないです。オススメ。



【第一部・邦楽演奏】

GEISHA FUJIYAMA SAMURAI 』(WHEN THE FUTURE LOVES THE PAST~未来が過去を愛するとき~に収録)
にのって、閣下の楽しい陰の前説。曲が二周目に突入しつつ、いよいよ開演。

まず外山香さんが黄色の着物姿で登場。
沢井忠夫 http://www.soukyokuin.com/TADAO.HTM (外山さんのお師匠)という方が作られた
翼にのって」という爽やかで綺麗な曲。

あれ?前回聴いた「鳥のように」みたいな曲だなー。
と思っていたら同じ作者の作品で、「鳥のように」とセットで演奏する事が多いとの事。
両曲とも上記沢井忠夫公式サイトの「Conpositions」コンテンツで、
詳しく解説されているのでごらん下さい。

外山さん退場。入れ替わるように三橋さんと友吉さん登場。
武満徹 http://www.schottjapan.com/composer/takemitsu/bio.html(関連サイト)作曲の
ノヴェンバー・ステップス」という曲。
1967年、N・Yフィル125周年記念の曲をバースタインに依頼されて作った、
「琵琶&尺八&オーケストラ」という構成の曲だそうです。
この曲は「十二段」あり、今回演奏したのはその中の「十段」だそうです。
静かな、何か大地の響き、みたいな感じの曲。



【第一部・朗読】
三橋さんが挨拶・説明などしつつ、朗読へのセットチェンジ。
今回の朗読は、橋本治著:双調平家物語より「
(閣下の衣装は「阿吽」のフルセット)

橋本治!私世代なら「桃尻娘」で有名。発想が面白い作家なんですよ。
「春って曙よ!」と枕草子を現代語訳にした「枕草子・桃尻語訳」は、
当時私も上・中・下三巻全部読み、ハマりました。
あー。また読みたくなってきた。中古本探そう(笑)

で、今回の「双調平家物語」は15巻あり、2008年に完成。
まだ読んでいないのでなんともいえませんが、
簡単に言うと「平家物語現代語訳」という解釈でいい本のようです。
ちなみに橋本氏は「窯変源氏物語」という「源氏物語現代語訳」も上梓。
●橋本治さん、「双調平家物語」完成祝う
http://book.asahi.com/clip/TKY200804050100.html
あー。読みたくなってきた。探そう(笑)え。全15巻。うおぉ。

今回閣下が朗読されたのはおそらくコレが元では。。
双調平家物語〈2〉栄花の巻(1)承前
中央公論社
橋本 治


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大化の改新のシーンの部分。
雨の中繰り広げられる、中大兄皇子らによる蘇我入鹿を暗殺する、
大化の改新(乙巳の変)の部分でした。

幸い多少はこのあたりの物語は知っていたので(ドラマ化もされた記憶が)、
一気に物語の世界に引きずり込まれました。
閣下の朗読も判りやすく多少はコミカルで、でも最後のシーンは凄い迫力で、
もう手をぎゅううううううっと握りすぎて手に変な爪の跡があぁぁ(泣)
・・・というくらい、大興奮で楽しませてもらいました。

さらにその物語を彩るように、邦楽器の音色が素敵で。
尺八の寂しげで不安げな伸びる音。
十三弦の華やかで叙情的な流れるような音。
薩摩琵琶の空気を切り裂くような厳しい音。
ただのBGMを越えて、効果音的な要素もあり、
物凄くカッコよかったです(こういう表現しか出来ない。ほんとよかったのです)

舞台演出も素敵で、ちょっと閣下のロックライブを思わせる様な布の演出、
雨を思わせるライティング、クライマックスでの鮮血を思わせるライティング。
最後に全てを見守る月・・・
前回の「竹取物語」の時もそうでしたが、舞台演出も素晴らしかったです。

もし大化の改新の事を知らない方でも、
閣下の朗読の迫力や、邦楽器の音の迫力や、舞台の美しさに、
十分満足できる内容だったと思います。
実際、私の側には閣下ファンではなさそうなお年を召した方がいたのですが、
クライマックス部分では身を乗り出して閣下の朗読に聞き入ってらして。
いやー。いいもん見もせてもらった。富士まで来て良かった。
ほんと、そんな感想が一番しっくり来るくらいの作品でした。



【第二部・演奏】

●The Phantom of the Kabuki / 美学と品格(シングル「熱くなれ」カップリング曲)
をBGMにメンバー登場(鎌輪奴か斧琴菊かは不明)客席は手拍子。
  雷電:威嚇。客席の判る人は威嚇返し。
  石川:あ~れ~、とくるくる回りながら。
  松崎:なんか訴えていらしたのですが判りませんでした(涙)
  三橋:尺八を刀に見立てて袈裟切り。
  外山:黒のセクシーなドレス。
  友吉:割と普通に。

●HAGAKULE(葉隠れ)~A sprit of Samurai~
(WHEN THE FUTURE LOVES THE PAST~未来が過去を愛するとき~に収録)
下手側客席扉から、藤島ロングベスト&赤青羽冠の閣下が登場!
中央通路を横切り、上手側通路を通ってステージに立つ。
客席の手拍子が再び始まり、大いに盛り上がり。
というか、非閣下ファンと思われる人たちがやんやの大盛り上がり。いい感じよー。

「吾輩は出てきて歌っては引っ込んだり、出てきては引っ込んだり」
とおっしゃりつつ閣下は友吉さんと共引っ込み、
●沖に沈む
現在沖縄で活動されているジョージ紫さんの作品。
http://www.takara-r.com/takarahp/text/topics3-oknawan-hardrock.htmlサイト内
George Murasaki NIRAI KANAI TRIANGLE/~Okinawa My Love~に収録。
前回もロゼシアターで演奏したのですが、筝の代わりにキーボードだった。
今回は、尺八、筝、バンドというオリジナルな楽器で演奏。

さらに外山さんが引き上げ、友吉さんが入り、
●夕霧左大将道行(暗黒バージョン)
(注:記憶曖昧。以下、間違ってたらごめんなさい)
以前、友吉さんのリサイタルがあり、見に行かれた閣下。
隣は髙嶋政宏さん(スターレス髙嶋)(←ROCK FUJIYAMAではこの名の方がおなじみでした)
この「夕霧」という曲を聴いて髙嶋さんと、
「これはプログレにしたらカッコいいのでは」と意見が一致。
(さすが、プログレ好きの考えることは・・・と思う私)
その後、これまたプログレ好きの松崎様へプログレアレンジをお願いしたら、
King CrimsonのStarless(アルバム「Red」に収録)みたいな尺八アレンジが。
(ったく、プログレ好きのやることは・・・と思う私)
何も知らなかった三橋さん、でも偶然尺八のピッチに合う音だったそうで。

ちなみに「Starless」なんで「暗黒バージョン」なんだそうです。
是非King CrimsonのRobert Frippに聞かせたいね、とも盛り上がり。
・・・「Red」買おうかな。高いんだよね。クリムゾンは中古でも。
さらにちなみに髙嶋政宏さんも「Starless」を1993年にカヴァーされています。
シングル「こわれるくらい抱きしめたい」(ツインズ教師 主題歌)のカップリング曲。

閣下が拍手で客席年齢アンケート。30代はそこそこ。40代多し。
が、意外にも50代がかなり多い。閣下も意外そう。だったらこの曲は知っているでしょう、と。
●絶体絶命(GIRLS'ROCK~Tiara~に収録)
そしてなななな、なんと!
閣下が初めて歌ったのに歌詞を間違えなかったという偉業を達成(こら)
閣下「明日、大雪になるんじゃない?」(すごくいいお天気です)

最後の曲になり「で で でー でっでっででー」おおお。
●Smoke on the Water (Machine Head / Deep Purple)
友吉さんの日本語コーラスも混じり、独特の世界観。わたくし、ノリノリ♪

その後アンコール。
●Blue Mountainならぬ、Mt. Fuji
客席もほぼ総立ち。大盛り上がりの大団円。最後、投げキッス飛ばしまくりで引き上げる悪魔でした。



【その他・トークとかエピソードとか】

●出来れば今年の年末に今まで出演された邦楽家を総動員して青山劇場で邦楽維新を・・・
と語りだした三橋さんに「そんな大風呂敷広げていいんですか(汗)」と閣下。
(要はは「そんなことが出来たら良いね話」だったようです)

●友吉さんの琵琶は「吉原」
戦国時代に植えられた木で作られていて何十年も乾燥させてどうたら(記憶曖昧)な琵琶。
閣下「びわわ、びわわ、びわわ~~♪」(ざわわ調)
鹿児島で割れている状態で発見されたのをくっつけて修復。
琵琶の月の模様は乳房の形、とか色々話されたのですが記憶がー(汗)

●筝の柱は象牙で出来ていると100万円位しちゃう。
という様な事を話す外山さんの洗濯機は暴走するそうです(謎)

●「絶体絶命」で歌詞を間違えなかった事を嬉しそうに話すも、
その後足元のカンペがクニャっと倒れたのを修復して、カンペ見ていたことがバレる悪魔。

●朝、新幹線に乗るために駅に行ったが40分も早く着いちゃった閣下。
雑誌を立ち読みしたりして時間を潰してホームに行ったら、ホームを間違えていて、
結局乗るべき新幹線に乗り遅れてしまい。「でも遅刻はしていないんだ!」
(そういう時こそ「瞬間移動」を・・・疲れるからダメですよね、はい)

●私の話ですが。閣下は「演奏が盛り上がってきたら是非拍手を。演奏者も喜ぶ」
とおっしゃっていたので、友吉さんの琵琶が「べんべんべん!」なところで、
ちょっと拍手をしてみたのだけど、会場には広がらず失敗しました(涙)



今回ロゼシアターは二回目ということでしたが。
青山ともみよしとも違う、また別の良さが出来つつあるように思います。
閣下目当てではない人が多い分、純粋に邦楽や朗読を楽しもうとする空気があり。
自然に手拍子や掛け声が上がったりと、楽しい雰囲気で楽しめます。
新作だし、一回こっきりの内容だし、舞台演出も綺麗だし。

「富士は遠くて」確かに関東からでも日帰りできない人が多いでしょう。
私でもギリギリですもん。帰宅したらとっくに日が変っているし。
でももし機会があれば是非。富士宮や富士山観光を兼ねて一泊旅行とか。
・・・うーん。厳しいか。でもほんと、機会があったらぜひ。
それだけの価値はあると思います、はい。

最寄り駅に着き、家まで歩いていると、家の方向に三分の一ほど欠けた月が。
朝はあんなに雨が降っていたのに。まさに「雨待ちの月」だな、と思える公演でした。

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